田崎健太|コラソンVERSUS|通販ショップの駿河屋

藤田俊哉

アパレル、劇団、スポーツイベント、音楽イベントと様々な分野で「楽しいこと」「面白いこと」を テーマに手掛けまくってる、めくるめくワンダーランド状態の「CORAZÓN」(コラソン)が 今!注目すべき各界の強豪たちと駿河屋と言う名のリングで熱いバトルを繰り広げる新プロジェクト!
その名もコラソンVERSUS(バーサス)!!!!
第6回目は、ノンフィクション作家「田崎健太」氏!

インタビュー: 植田朝日(コラソン) 撮影:ヤナガワゴーッ!

他の人が書かない人、書かない事を敢えて書きに行く。 そこに面白さがあると語るノンフィクション作家、田崎健太氏に迫ります!

朝日 「はい!コラソンバーサスvol.6はノンフィクション作家の田崎健太さんです。よろしくお願いいたします。」

田崎 「どうも。よろしくお願いします。」

朝日 「僕ね。本はあんまり読まないんですよ。時間もないし、でも先日たまたま本屋さんで気になって手に取ったのが健太さんが書かれたカズさん(三浦知良)のお父さんの作品だったんですよ。」

田崎 「『キングファーザー』(カンゼン 2013年)ですね。」

朝日 「そこから田崎さんのサッカーの本や、長州力の本や個人的にも興味深い本が沢山あって、どんどん引き込まれていったんですよね。インタビューをされる方は多岐にわたっていますが、どういう基準で決めてるんですか?」

田崎 「これはね。運と縁しかないですね。それからじっくり1年か2年くらいは最低取材する形で。」

朝日 「なぜ僕がそんな質問をするかと言いますと、とてつもない取り扱い注意人物みたいな人ばっかりいくじゃないですか。勝新太郎さん、伊良部秀輝さん、長州力さん。佐山サトルさん。」

田崎 「みんな行かないですもん。(笑)」

朝日 「行かないですよね?(笑)」

田崎 「行かないから面白いんですよ。そりゃ、行けるんだったら新聞記者とかサラリーマンのテレビの記者が行けるけど、行けないところに行くのが僕らの仕事であり、やっぱり面白いのはそこだと思うんですよね。」

朝日 「危険人物と思われると言うか、厄介そうと言うか、やってても途中で話ぽしゃるんじゃねえかって、そんな感じなんですけど。」

田崎 「それが一番面白いんですよね。その感覚がね。」

勝新太郎氏について書くきっかけとは?

朝日 「勝さんの本、「偶然完全 勝新太郎伝」(講談社 2011年)を書くきっかけになったのは何だったんですか?」

田崎 「自分はもともと週刊ポストと言う雑誌にいたんで、その時がきっかけかな。で、週刊ポスト辞めたのも、勝新太郎さんの入院中にね、自分が取材して、それを出せって言われて。で、僕が出さないって揉めて。」

朝日 「出せって言うのは週刊ポストに出せって言われて、田崎さんは出さないと?」

田崎 「独占手記なんですよ。病院の中に入ったやつなんて誰もいないんですから。僕だけですからもちろん。」

朝日 「それは出さないって言うのは、なんでですか?」

田崎 「そん時ね、昔、勝さんの『人生相談』って言う連載やってて。かわいがってもらっていて。」

朝日 「信頼関係ができあがってたと言うわけですね。」

田崎 「で、連載が終わってしばらくしてから勝さんが癌になって。癌センターに入院しているから僕は手紙書いて最後に挨拶だけしたいなと思って病院に行ったんですよ。その時、編集部も待っていたみたいで。ところがなかなか癌だから目が覚めないから半日以上ゆくえくらませたわけですよね。で、どこ行ったんだ?って話になって、勝さんとこ行ったってバレちゃって。勝さんと会ったのか?と言われたので、会いましたと。じゃあそれ手記を書けよと言われて、嫌ですよと。なぜかって言うとそれを書くと、やっぱりみんな勝さんのこと狙ってたから…。」

朝日 「それもう仕事じゃなくてプライベートで会いに行ったのに、それは書けないよと。だけど会社の命令で書かなきゃいけないと。」

田崎 「それでも書けないということで。データだけ出せって言われて、データだけ出したんですよ。で、僕はちょうどペルーの大使館公邸占拠事件でペルーに取材に行かなければ行けなくて。その行ってる間に原稿出されちゃったんですよ。だから僕はそこを今でも根に持っていて、でやっぱり勝新太郎をどこかでちゃんと書かないと、息子さんとか中村玉緒さんとかを裏切ったような気持ちがあるから、それで勝さんを書いたのが『偶然完全 勝新太郎伝』ですよね。そこからノンフィクションの手法として割と色んな人に話を聞いていくようになって。それを読んだ集英社側が長州力を書かないかと。」

信頼関係が築けているからこそ書けること。

朝日 「で、ひとりの人を書くのに2年とか取材するんですよね。」

田崎 「今回の「真説佐山サトル」の佐山さん(初代タイガーマスク)は2年半取材してます。」

朝日 「佐山さんとかはもうやっぱり新日本プロレスの昭和50年台の大ブーム作って、一番いい時に辞めてるじゃないですか。色んな話聞くけれども、ファンは本人の口から聞きたいですよね。」

田崎 「佐山さんはその後UWFいってるでしょ。UWFの前田日明さんと喧嘩マッチと言われてる...それを双方から聞くって誰もやってないんですよ。前田さんにも取材して、佐山さんにも取材して、当たり前のことを当たり前にやっているだけで。」

朝日 「でもやっぱ前田さんに聞いたら前田寄りになっちゃったり、佐山さんに聞いたら佐山寄りになっちゃうし、両方話聞いてるとやはり辻褄合わないこととかないです?」

真説佐山サトル
真説・佐山サトル

田崎 「合わないです。辻褄合わないですね。そこは僕の判断だし、どっちの言い分も聞いて判断するって言うのが僕のスタンスなので。そこは佐山さんも長州さんもそうなんですけれど、僕がインタビューする人は好きに書いていいよと言ってくれる。」

朝日 「もっと言うと健太さんと長州さんの関係って、お前を信じて、お前はちゃんとしたことしかやらないからOKだぞって言う信頼関係を勝ち取っているってことですよね。」

「ドライチ」からインスピレーションを受け、映画「ジョホールバル1997」の撮影に臨んだ。

田崎 「そこが朝日くんの撮った『ジョホールバル1997』(ヨコハマ・フットボール映画祭出品、観客賞受賞作品)の映画を見て面白いなと思ったのは、信頼関係ができてるなって。だって喋んないよね、名波浩さんがね。あんなことね。」

朝日 「僕が映画を撮り終わった時に、健太さんにだけは見てもらいたいなと思ったんですよ。僕は書く文才もないけれども、こういうやり方やってるんだろうなって言う、読ませて貰った本の中で色々感じることがあったんで。あと『ドライチ』(カンゼン 2017年)って言うドラフト一位の選手たちの苦悩だったりとか、自分がなぜこうだったのか、何が足りなかったりとか、人間模様が描かれていた作品なんですけど。あれ見た時に本って勝手にその時代に合わせて、登場人物の発言がいったりきたりして、勝手にストーリーになるものだって思ったんですよ。ひとりひとり切り取って見てこんなに面白いんだってあの本で思わせて貰って。」

田崎 「『ドライチ』はまさにインタビューノンフィクションと言う形式を考えていて。ひとりに色んな多角的に聞いていくのもノンフィクションのやり方なんだけども、ひとりの人間にじっくり話聞こうと。2時間なり3時間なりね。それを時系列に並べていって新聞とか参照しながらやるって手法を取ったんだよね。まさにそこを感じ取って貰えて嬉しいね。」

ドライチ
ドライチ

朝日 「僕はそれを見た時に『お、そっか!』って。なんかいままでのイメージでは健太さんの作品見たら長州力なら一冊長州力で。でも、『ドライチ』って言う本の中には主役が登場人物の数だけいて、別のとこに出てくる人もいるわけじゃないですか。一冊の中でこういうやり方、本の中で直接対決していないのにバトルロイヤルみたいな感じになってて。こりゃ面白いってなって。自分が映画撮る時に影響されたわけじゃないけど『そういうやり方もあるんだ』って、やっぱり影響されてて。(笑)」

田崎 「影響と言うか触媒というかね。違う形態から必ずインスピレーションが出るっていうのは絶対あるよね。」

インタビューの基本は、まず自分がどんな人間かをさらけ出すこと。

朝日 「いや~。凄いなと思って。どういう風に思っていただけるんだろうと。自分の映画の話になっちゃうんですけど、人が結構言ってくれるのは『岡ちゃん(岡田武史)の話面白かった』『岡野(岡野雅行)面白いね~』ってね。でもそれって凄い変な話、彼らは多分講演会とかたくさんやっていたり、喋りなれていて、得意な形あるから面白いのは当たり前なんですよ。だから普段あんまりくだけたインタビューとか出てない名波さんとか面白いインタビュー撮れたと思ったし、井原さん(井原正巳)が様子をうかがいながらどこまで話していいか恐る恐る話をしてくれたのとかね。」

田崎 「彼らにも立場があるからね。」

朝日 「そうそう。そう言うところとか、山口素弘がこんな強気な人なんだってキャラ出せたのは自分で凄いなと思ってたんですよ。だけど人の評価って違うんだけど、健太さんは『名波のあれ面白かったね。信頼関係出てるね!』みたいな。」

田崎 「あれはそれしかないでしょ。名波があんなに喋ってるのみたことないし、嫉妬とはまた違うんだけど、いいインタビューだなって凄く思ったよね。」

朝日 「いや~凄い嬉しい。」

田崎 「やっぱり向こうもちゃんと意識してるじゃない?植田朝日って何者かって。インタビューの基本は、みんな分かってないと思うんだけど、ある程度自分がこういう人間だってことをさらけ出してやらないと、向こうは喋ってくれないんだよね。」

朝日 「そうですよね。こっちの立場って大事ですよね。」

田崎 「そうそう。お前が何者だって言うのが分かってくれないと。俺はもともと小学館で記者と言うか書き手を始めたんだけどやっぱり社員じゃない?社員って向こうの個人事業主からしたらやっぱりどっかで分かってねえだろ?って感じがあるよね。で、自分が小学館辞めて個人で書くようになったから、俺も個人でやってるからお前らと対等だよっていう関係を作りたいっていうのもあって。」

朝日 「なるほど~。」

田崎 「それが名波さんと朝日くんの対談見てると、対等と言うかお前はいつもちゃんと試合を見に来ていて、それで時に言いたいこと言うけどけどお前の言っていることも分かるよねって、名波さんのメッセージが凄く伝わっていいインタビューだなと思ったんだよね。」

インタビュー風景

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田崎 健太(たざき けんた)

プロフィール紹介

1968年京都市生まれ。ノンフィクション作家。
著書に「真説・長州力」「偶然完全 勝新太郎伝」「球童 伊良部秀輝伝」「維新漂流 中田宏は何を見たのか」「電通とFIFA」など。
2018年7月26日に「真説・佐山サトルタイガーマスクと呼ばれた男」が発売。

>田崎健太 オフィシャルウェブサイト
>田崎健太 Twitter

作品紹介

田崎健太 最新作 『ドラガイ』
2018年10月15日発売

作品紹介

ジョホールバル1997 ~20年目の真実~
2018年10月26日上映

フォトギャラリー

田崎健太

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