初夏を迎えた京都、下鴨。 糺の森で、若いころ求婚の返事が聞けないまま婚約者を亡くした、と語る老人に出会った幸。彼が探していたものとは……?「鶯の落し文」 「香水瓶を返してほしい」という着物姿の女性が訪ねてきた日から、 身辺に彼女の幻影を見るようになった春野。彼女の正体は--。「青時雨の客人」 野々宮家に向かう途中、慧が助けた小さな動物とは……?「一陽来復」 良鷹は、顧客である八幡家の玲奈から相談を受ける。 近頃、白無垢の花嫁の幽霊が現れ、その場に山吹の花を残すのだという。 八幡家には玲奈の祖父が持っていたという筥迫(はこせこ)があり、 それに取り憑いている、と玲奈は考えているという。 その筥迫は、“消えた花嫁”が残した物であるらしく……?「山吹の面影」 ほか、全六編収録。 時代を超えて受け継がれる、古い物たち。 そこに宿る想いを見届ける、シリーズ最終巻!!