鉄道
「公共交通機関を使ったイタリア田舎町の旅には、相変わらずどこかに「罠」が隠されており、油断がならない。でも、そうした試練があるからこそ旅は楽しく、鉄道やバスでの移動自体も旅を彩る大きな要素になっている」(本文より)本書は、1981年にシベリア鉄道経由で初めてイタリアを旅して以来、全20州大小250以上の村や町を公共交通機関(たまにタクシー)を乗り継ぎ、踏破してきた著者によるイタリア旅のリアルな記録である。ローマやミラノ、フィレンツェなどの著名都市については一切触れず、ローカル線でしかたどり着けない“へんぴ”な地域だけを中心に8つのイタリア旅を取り上げ、写真とともに紹介する。一見行き当たりばったりのような著者の旅の様子を読むうちに、いつのまにか読む側もイタリアの田舎町の日常に入り込んでいるような錯覚に陥る。旅好きな人はもちろん、忙しくてなかなか旅に行けない人も、著者と同じ視点で、次々に起こる旅のハプニングに戸惑い悪戦苦闘しつつも、食べ歩き、飲み歩き、町歩きをいっしょに楽しみながら読み進められる内容となっている。自分が主体的に考えて動かなければならない公共交通機関の旅は、大変なことが多い分だけ、達成感や心に残る思い出がたくさん残る方法でもある。旅本来の楽しさを思い起こさせてくれる一冊と言える。法政大学名誉教授 陣内秀信氏推薦「イタリア大好き人間をディープな旅へ誘う必携の書!」