鉄道
【内容紹介】
タイとミャンマーを結ぶ泰緬鉄道。戦時下、日本軍はこの鉄道建設のため捕虜らを動員し多くの犠牲を出した。現場で何が起こり、その責任はいかに問われたのか。支配の末端で錯綜した被害と加害を元捕虜・朝鮮人捕虜監視員・鉄道隊員と研究者の視点から捉える。
【目次】
序 キャンベラへの道
泰緬鉄道--日本語版の出版にあたって
第I部 戦争犯罪と責任
第1章 戦争責任を考える--オーストラリア裁判で明らかになったこと[ガバン・マコーマック]
第2章 日本は捕虜をどのように管理したのか[内海愛子]
第3章 動員されたアジア人労働者[村井吉敬]
第II部 歴史と回想をとおして戦争を考える
第4章 記憶の中の泰緬鉄道[トム・モリス]
第5章 ぞうと人間と[ヒュー・クラーク]
第6章 鉄道との接点[ディック・ギルマン]
第7章 囚われの旅[トム・ユレーン]
第8章 一九四六年と一九九一年[サー・エドワード・ダンロップ]
第9章 加害者の一員として--朝鮮人元監視員の報告[李鶴来]
第III部 個人の体験から国民的歴史へ
第10章 泰緬鉄道考--一人ひとりの人生から国民的歴史へ[ハンク・ネルソン]
史料1 鉄道におけるオーストラリア部隊
資料2 戦争捕虜の死亡率比較
第11章 泰緬鉄道の朝鮮人軍属[内海愛子]
第12章 チャンギ未決拘留の体験--『私の手記』から[李鶴来]
第13章 捕虜たちの賠償請求--今後の課題[デイビッド・バレット]
第14章 歴史から何を学ぶのか[ガバン・マコーマック、ハンク・ネルソン]
第IV部 戦争と責任
第15章 「責任」の解明--鉄道隊の視点から[奥田豊己、内海愛子]
第16章 泰緬鉄道で交錯した人生[ガバン・マコーマック]
資料・泰緬鉄道
参考文献
あとがき
【著者略歴】
恵泉女学園大学名誉教授。早稲田大学平和学研究所招聘研究員。主な著作は以下の通り。『朝鮮人BC級戦犯の記録』勁草書房、1982年(岩波現代文庫、2005年)。『戦後補償から考える日本とアジア』山川出版社、2002年。『日本軍の捕虜政策』青木書店、2005年。『キムはなぜ裁かれたのか--朝鮮人BC級戦犯の軌跡』朝日新聞出版、2008年。